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飼い猫様の窃盗 51

「実際に現地を見てないので、軽々にはいえません」

偽らざる私の返答に、飼い主様は目を伏せました。
心情を察した私は、飼い主様が発するつぎの言葉よりも前にいいました。

「それでも答えるとすれば、最新の目撃情報地点に捜索の重きを置きます。もっといえば、二つ目の目撃情報地点も含めてですが」
「タバコ屋さん周辺のことですね」
「はい。もちろん、一つ目の目撃情報地点の猫様がS君ではなかったと断言できませんが……経過日数を鑑みるに、優先順位を低く見積もります」
「捜索時間帯に関しては?」
「目撃した時間が、それぞれ正午すぎと夕刻ということなので、どちらもカバーできる時間帯を捜すようにします」
「その時間帯は仕事中なので、難しいかもしれません……」
「あくまでも、ご参考程度の話です。何度もいいますが、絶対はありませんので」

飼い主様はまるで祈るように、顔の前で両手の平を合わせながら仰いました。

「決して疑っているわけではないので誤解なさってほしくないのですが、Sは、タバコ屋さん近辺にまだいますかね? タバコ屋さんの店主の方から、再びご連絡を頂けないので……。このことについては、どう思われますか?」
「連絡がないのは、タバコ屋さんの店主様がS君らしき猫様をもう一度見かけていないから、に過ぎないでしょうね」
「そうだと信じたいです。なにせ、依頼したペット探偵の人に『勝手に捜索現場を引っ掻き回している』と責められたので、どうしてもネガティブに考えてしまいまして……」
「冷静になってみてください。タバコ屋さんの店主様が目撃情報の電話をくれたのは、親切や同情といった善意からです。実際に会話を交わした飼い主様が、そうお感じになられたのですよね?」
「はい。わざわざ連絡をくださるなんて、お優しい方だなと」
「でしたら、そう信じておきましょうよ。タバコ屋さんの店主様だって、ご自分の都合や生活サイクルがあるわけですから、24時間欠かさずに目を見張っていられるわけではないのが普通ですし。そう考えれば、S君らしき猫様をもう一度見かけられなくても不思議ではありません」
「だとすれば……その猫が付近を離れたと考えるのは早計かもしれませんね」
「その通りです。三つ目の目撃情報地点についても然りだとお考えください。その目撃情報電話をくれたA様に至っては、はからずもペット探偵会社のいい加減な対応も知ったわけですから、なおさらに飼い主様の味方でしょう。ならば、S君に似た猫様を再び目撃した際は、必ず連絡を頂けるはずです」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉