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飼い猫様の窃盗 58

そのまま30分ほど過ぎた頃でした。
私が座っていたベンチの後ろに広がる茂みの中から、小さな鳴き声が聞こえてきました。
静かに振り返ると、やがて一匹の野良猫様が姿を現しました。

目ヤニで片目が開きづらそうにしているその野良猫様は、茶トラの被毛を持った、体格の良い成猫様でした。
首輪がついているわけではありませんが、まるで警戒する素振りを見せず、私の足にすり寄ってきました。

「その目ヤニ、どうした? ちょっと見せてごらん」

茶トラ猫様にそう話しかけた私は、いたずらに警戒心を抱かせないよう、目元にゆっくりと顔を近づけました。

一口に目ヤニといっても、いくつか種類があり、健康な猫様であっても目ヤニが出るのは普通のことです。
ただし、怪我が原因の目ヤニと病気が原因の目ヤニには、注意が必要です。

見極め方としては、目ヤニの色と量を見ることです。
健康な猫様の場合、目ヤニの色は茶色っぽく、目じりにつく程度の少量です。

翻って、目ヤニの色が白っぽい場合は、ケンカなどによって怪我を負い、細菌に感染している可能性があります。
黄色や緑色の目ヤニだと膿が出てしまっているので量も多く、片目が開けられない状態だと考えられます。
酷い怪我ですと、眼球そのものを損傷し、体液が出てしまっている状態なので、速やかに動物病院での診察を受けるべきなのはいうまでもありません。

また、目ヤニの色が黄色くて粘り気が確認される場合は、猫クラミジア細菌に感染している疑いがあります。
猫クラミジア細菌は接触感染するので、片目だけでは済まず、両目に症状が現れやすいといわれています。
加えて、直接的に接していなくても、私たち人間を媒介してほかの猫様に感染することもあるので要注意です。

目ヤニの色が白か緑色がかっていたら、猫風邪を患っている可能性が考えられます。
その場合、私たち人間と同様、発熱・咳・くしゃみ・嘔吐などの症状も伴うことが多いので、比較的、判断は容易だといえます。

上記の違いを判断基準にして、茶トラ猫様の目ヤニを観察したところ、色は黄色でした。
粘り気はなさそうです。
膿が出ている感じもなく、量が多すぎることもありません。
眼球にも、以上はなさそうでした。

そうはいっても、片目が開きづらそうにしているのは事実なので、私は茶トラ猫様の目ヤニを取ってあげることにしました。
今日持ち歩いている鞄の中には、ペット様用のウエットシートやガーゼをはじめとする応急処置グッズが入っているので、それらを手に取り、私は茶トラ猫様に提案しました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉