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飼い猫様の窃盗 65

ここまで書き綴ってきたこのブログシリーズの流れでS君の捜索に着手したわけですが、逸走日からかなりの日数が経過していることもあって、進捗の具合は、決して順調といえるものではありませんでした。

捜索を開始してからの数日間は、目撃された時間帯である正午すぎから夕刻に、S君の姿をこの目で確認できることがかないませんでした。
聞き込みによる情報入手についても、確度の高いものはありません。
S君の飼い主様の元にも、新たな目撃情報電話がかかってくることはありませんでした。
無論、不誠実なペット探偵からも、すっかり音沙汰無しという状況です。

そんな中、一つだけ、S君に繋がるかもしれない要素を発見しました。
S君らしき猫様が目撃されたタバコ屋さんと、公園の間くらいに位置するちょっとした遊歩道の脇で、エサやりの痕跡を見つけたのです。
遊歩道の草むらに隠すようにして置かれたアルミホイルの上には、猫様用だと思われるドライフードを確認できました。

そのドライフードの形状は、エサやリの女性が公園で野良猫様に与えていたものとは別のものでした。
ということは、別人の方が置いたエサである可能性が考えられます。

また。
アルミホイルの大きさからして、置かれたドライフードの量は、大して多くなさそうだと推測できました。

ひょっとしたら、ほかにもエサが置かれているかもしれない……。

そう思った私は、周辺を徹底的に調べました。
結果、計五か所で、同様のエサ置き場を見つけることができました。
ドライフードが残ったままのものもあれば、きれいに無くなっているものもありました。

加えて、同じような大きさに切られたアルミホイルのみを、周辺でいくつか発見しました。
風で飛び散らかっている、といった具合です。

以上のことを鑑みて、私は飼い主様に提案しました。

「つぎからは、捜索時間帯を前後にずらして行ってみるのも手だと思います」
「エサやリの女性が現れる時間帯に、ということですか?」
「いえ。先ず一つは、夕刻から捜索を始める案です。例のエサやリの女性が公園に現れる前の時間帯に重きを置く案です。もしかしたらS君は、ほかの野良猫様よりも早い時間帯に動き出しているかもしれないからです」
「なるほど」
「もう一つは、明け方の時間帯に捜索を行う案です。意図としては、私が見つけたエサ置き場を調べるためです。そのエサを置きにきた本人に接触できれば、新しい情報を入手できるかもしれません」
「そうかもしれませんね。けれど……その人がSを目撃しているのだとしたら、どうして電話を頂けないのでしょうか?」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉