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飼い猫様の窃盗 68

エサやリ男性に連れてこられた駐車場は、全部で十台の駐車スペースがありました。
地面はコンクリートで舗装されているわけではないので、所々が、雑草で覆われていました。

一番奥の駐車スペースには、もう何年間も放置されているであろう、錆びついた軽貨物車(ボロボロの幌付き)が停められています。
ほかの二台の普通車が停められている駐車スペース以外は雑草の伸びが激しいので、ほとんどが空き状態だと思われます。

駐車場には、アパートが隣接していました。
それとの境を仕切るフェンスの網は、穴が広がっている箇所が目立ちます。

「フェンスの向こう側にアパートがあるでしょ。オレ、そこに住んでるんだ」

エサやリ男性の部屋は、一階だそうです。

「オレ、ベランダでも毎朝エサやリをしてるんだけど……」
「そうなんですね」
「二週間ちょっと前くらいだったかなあ……。このチラシの猫が食べに来てたのを見たことがある。野良猫にしちゃきれいな白猫だから、誰かの飼い猫だろうなあと思ったんだよね。首輪もついてたし」
「ちなみに、どんな首輪だったか覚えていらっしゃいますか?」
「え? この写真と同じような首輪だったけど……。あ、でも、迷子札まで確認してない。臆病な感じだったから、近くで見れたわけじゃないし」

エサやリ男性が述べた特徴は、確かにS君に似通っていました。
とくに、赤い首輪を装着している白猫様の目撃情報は初なので、否が応でも期待が膨らみました。

とはいえ、私は曲がりなりにも迷子ペット様捜索のプロです。
膨らんだ期待で冷静さを失わないように自制を利かせ、質問を重ねました。

「健康状態は、どんな様子でしたか?」
「弱っているとか怪我してるとか、痩せているって感じはしなかったけど」
「それは一安心です。ところで……」
「ん? 何?」
「初めて姿を見かけた日以来、毎朝、エサを食べに来たんですか?」
「それがさ、そうでもなかったんだよね。オレが見かけたのは、全部で三回。そのうち二回はこのベランダで、最後の一回は、この裏の通りで見かけた。タバコ屋さんがあるの分かる?」
「はい」
「その並びの家で見た。塀の上を歩いてた」
「それも明け方だったのですか?」
「そう。さっき会った遊歩道にエサを置きに行った帰りがけに見た」
「その日は何日前だったのか、覚えていらっしゃいますか?」
「うーんと……確か、四日前。そうそう。新しく買い足したエサを開封した日だったから、間違いないよ」
「なるほど。そうなんですね」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉