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飼い猫様の窃盗 74

地道な聞き込みなどによるS君捜索の周知徹底は、その後も数日間続けました。
おかげで、ご自宅の敷地内でエサやリをしている幾人かや、親身に協力を申し出て頂いた方々とも接触ができました。

捜索を実施する時間帯については、適するであろうそれに合わせ、臨機応変に行いました。

ところが、S君もしくはS君に似た猫様の有力な目撃情報だけは、すでに得ているもの以外、新たに入手ができない日々が続きました。

こうして、聞き込みなどによる住民への周知徹底範囲は、最終的に、怪しげな男たちと遭遇した公園まで広げることになったのです。
そこからは、今ブログシリーズ『飼い猫様の窃盗 4』から『飼い猫様の窃盗 30』に綴った通りの展開になりました。

ここまでの展開で確実にいえることは、S君の飼い主様が最初に依頼したペット探偵は、まったくといっていいほど捜索をしていない不誠実な業者である、ということでした。
それでもS君の飼い主様は、エサやリ男性から私が入手した目撃情報に希望を見出し、件のペット探偵のことは高い勉強代として割り切り、今後の捜索の進捗に期待を寄せておられます。
ですから、その期待に応えるべく、私も誠心誠意、全力で捜索に当たっていました。

そうして、公園内の茂みに紛れ、張り込みに近い形で待機していながら、一時間半ちょっとが経過した頃です。
私が撒いたエサの一か所付近に、何ならかの生き物が近寄って来る足音が聞こえてきました。

夜の暗さにすっかりと目が慣れていたとはいえ、その生き物が何者なのか、瞬時に判断ができません。
だからといって、焦りは禁物です。
その姿を確認できるまでは、辛抱です。
むやみに動くことによって、エサを食べに来たであろう生き物を驚かせないように、私は息をひそめながら待ちました。

しばらくの時間が経過後、その生き物の姿をいよいよ目視できました。
その瞬間、私の目は大きく見開かれました。
尻尾までふさっとした長毛種の猫様だったからです。

次いで、頭の中に焼き付いていた情報が、まるでコンピューターのごとく素早く弾き出されました。

・全身のほとんどが白で、背中周りと尻尾の先にはシルバーの被毛が交っている
・去勢済みのオス
・年齢は3歳くらい
・体重はおよそ5kg
・臆病な性格
・瞳は薄い青みを帯びている
・赤い革製の首輪と迷子札(猫様の名前S・飼い主様の携帯電話番号が記載)を装着

見た目の特徴からいっても、間違いありません。
今私の目に映る猫様は、S君でした。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉