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飼い猫様の窃盗 77

S君が入って行ったお宅に捕獲器の設置交渉をするにしても、それに入ってくれるかどうか……こればかりは、正直、無条件に期待できる状況とはいえません。

「……でも、可能性が低いとはいっても、捕獲器を設置すれば、Sが入ってくれるかもしれませんよね?」
「そうですね。可能性がゼロとはいいきれません」
「だったら、Sがお邪魔したお宅に、捕獲器の設置をお願いしてもらえますか?」
「そのつもりです。なので、本日も捜索に伺ってもよろしいですか?」
「はい。お願いします!」

実際のところ、今夜の捜索でS君の保護がかなうかどうか、定かではありません。
それでも、連日の捜索実施をS君の飼い主様に提案したのは、他ならぬ、怪しげな男たちの存在によるためでした。
いつまた現れて、捕獲器の設置による猫様たちの乱獲をされるか分からない以上、悠長に構えてはいられない、それが私の判断でした。

S君が敷地内に入って行ったお宅のインターホンを押したのは、17時頃でした。
昨夜の動画を家主様に見せると、まるで自分のことのように、S君の姿を見てよろこんでくれました。
この家主様には、聞き込みの際に直接お会いしているので、捕獲器の設置交渉もスムーズに進みました。

私は、

・捕獲器には、べつの猫様または他の生き物も入る可能性があること
・その際は、その子を速やかに開放してあげたいので、すぐに電話を頂きたいこと
・設置中は、猫様が警戒するので、捕獲器の様子を頻繁に覗かないで頂きたいこと

などの注意事項を、家主様にお願いしました。

「こちらでも、定期的に捕獲器の様子をチェックするために、お宅様の敷地内にお邪魔させて頂けるとありがたいのですが……」

私のお願いに、家主様は快く応じて頂けました。

「いいですよ。いつでも、勝手に入ってください。はやく、保護してあげたいですものね」
「ありがとうございます」

御礼を伝えてお暇した後、私はその足で、絞り込んだ捜索範囲をくまなく歩き回りました。
昨日S君を目撃した時間帯は深夜でしたが、いつどこで、再び姿を確認できるかもしれなかったからです。

ついでに、親身になって心配してくれている協力者の方々にも、S君の目撃がかなったこと・これからもご協力を願いたいことを報告して回りました。
皆様方一様によろこんでくださり、私にも励ましの言葉を頂けました。

そうこうしているうちに、夜が降りてきました。
怪しげな男たちが今夜も現れるとしたら、遅い時間になればなるほど遭遇する危険性が高まるので、より一層の注意をしなければなりません。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉