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飼い猫様の窃盗 82

どこかスッキリしない表情を浮かべたままのエサやリ男性に、私は本心を付け足しました。

「ご丁寧にS君の情報を提供をくださった方を、変に巻き込んで、危険な目に遭わせたくはなかったのが正直な想いです。それでも、隠していたことで不快な思いをさせてしまったのなら、謝ります。申し訳ございませんでした」

私は深く頭を下げました。

「……分かったよ。もういいって」
「ありがとうございます」
「ところでさ、その男たちって、どんな連中なのよ? 荒っぽいことしてくるような感じ?」
「最初は、見境なく突っかかってくるという感じではありませんでした」
「……最初は?」
「はい。お世辞にも善人とはいえませんが、顔を合わせてからしばらくは、とりあえず会話ができました。内心に、荒っぽい部分を隠していたのは、間違いないですけど……」
「何かをされたわけ?」
「追いかけられています。猫様たちを私が解放したのを、バレてしまいましたので」
「それって、ヤバイんじゃないの?」
「そうですね。男たちに捕まってしまえば、S君の捜索に支障を来たしかねません」
「いやいや。それも大事だろうけど、自分の身も心配しろよ」
「お気遣い、ありがとうございます。でも、ご心配なさらずに。男たちの素性は分かりませんが、顔は覚えていますので。もし鉢合わせてしまっても、捕まえられてしまう前に、全力で逃げます」
「自信あるねえ」
「現に、たった今も、男たちから逃げ回れていますし」
「は? 『たった今も』だって?」
「はい。公園の入り口に一人、この公園内に二人の男たちがいます。おそらくは、私を捜しているのだと考えられます」
「マジで!?」

エサやリ男性は、きょろきょろと辺りを見回し始めました。

「だったらさ、無警戒で話してる場合じゃないじゃんか」
「そうですね。ただ、男たちはまだ、私が公園内にいることに気づいていませんので、そこまで焦らなくても大丈夫です」

そうはいっても、です。
私とエサやリ男性がこうして話している姿を、男たちに目撃されてしまえば一大事です。
私だけではなく、エサやリ男性の身の安全も脅かされてしまうかもしれません。
その危険性を伝えると、エサやリ男性はいいました。

「男たちに追われるのは、ごめんだね。けど、もう少し話の続きを聞きたいから、茂みの中で話そう」

私の返事を待たずに、エサやリ男性は茂みの中へと入って行きました。
それについて行く前に、キジ白猫様に別れの挨拶をしようとした時、私は気づきました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉