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飼い猫様の窃盗 91

目撃情報者を装って待ち伏せするという罠から逃れたとしても、私を捜し回っている男たちからの危険がゼロになったわけではないでしょう。
今回の電話のやりとりで男たちを挑発する結果になった以上、これから先は、慎重さがより必要になることを覚悟しました。

となれば、早々に、つぎの行動にでるべきだと判断した私は、エサやリ男性に電話をかけました。
そろそろコンビニに着いていておかしくはないのに、折り返しの電話がかかってこなかったからです。

数コール目の呼び出し音が鳴った後、エサやリ男性が電話にでました。

「悪い、悪い。今、電話をしようと思ってたとこだった」
「無事ですか?」
「まあね」
「今、どこにいっらっしゃるのですか?」
「公園から一番近いコンビニの中」
「そうですか。ところで、二人組は?」
「それがさ、コンビニに入る前に、いなくなったんだよ。っていうよりも、公園を出て直ぐに、二人組は、オレとべつの方向に歩いて行ったみたい。やっぱり、オレの勘違いで、尾行されていたわけではなかったのかね?」
「なんともいえませんが……用心に越したことはないでしょう」
「そっちは、どう? なにか進展あった?」

私は、コインパーキング付近に来るように誘われた罠の顛末を、かいつまんで伝えました。
それを黙って聞いていたエサやリ男性の声音は、すっかりと警戒心に浸食されているようでした。

「……怖えな。マジで、ヤバい奴らじゃん……」
「まともじゃないのは、確かですね。ですので、ご協力はありがたいのですが、本日のところは、このままご帰宅なされた方が安全かと思います」
「だよな……。自分から協力を申し出ておいて悪いけど、そうさせてもらうわ」
「お気になさらずに。それと、万全を期して、できれば徒歩ではなく、タクシーをひろってご帰宅ください」
「そうするわ」

エサやリ男性は、あらたまった感じで付け加えました。

「ヤバイやつらに追われてる状況で猫を保護できるのは、誰にでもできるわけじゃないと思うからさ……そっちも気をつけろよ、マジで」
「ご心配して頂き、感謝申し上げます」
「じゃあ、またな」
「はい。お気をつけてお帰りください」

エサやリ男性との電話を切った私は、スマフォを取り出し、時刻を確認しました。

……そろそろ、一度チェックが必要な時間だ。

私は気合を入れ直し、歩き出しました。
この状況で目指すは、ただ一つ。
S君保護の目的で捕獲器の設置協力をして頂いているお宅です。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉